会社譲渡・M&Aの際のスキームについて解説します。株式譲渡と事業譲渡はなにが違うの?

query_builder 2021/12/03
M&A・事業承継
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中小企業さまのM&A・事業承継において採用される方法は、株式譲渡事業譲渡の大きく分けて2種類が存在します(*)。

そして、会社の譲渡の方法によって、メリットデメリットが異なります。

この記事では、会社譲渡をご検討されていらっしゃる経営者さまに向けて、譲渡の方法別に、発生するメリット・デメリットについて解説していきます。
ご一読頂ければ、M&A・事業承継の際のスキームについてざっくりとした理解が得られるかと思います。

※もちろんM&Aの形態として、合併、会社分割、株式交換、株式移転のいわゆる組織再編行為を採択することもありますが、中小企業M&Aの中では、マイナーケースに当たりますので、本記事ではボリュームゾーンである、株式譲渡と事業譲渡に焦点を当てて、解説していきます。

会社の譲渡の種類、株式譲渡と事業譲渡の違い

株式譲渡

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株式譲渡とは、譲渡会社の株主が保有する株式を、譲渡先の会社もしくは個人に譲渡し、対象会社を譲渡する方法です。

中小企業さまのM&A・事業承継では一般的によく用いられる方法になります。

株式譲渡を採用する際の、
売り手側のメリットとしては、

・低い税率による多額の現金の入手
・譲渡後の会社自体の存続


買い手側のメリットとしては、

・事業資産の包括的な継承
・複雑な手続きの回避


などが挙げられます。
以下、説明していきます。


売り手側のメリット


・低い税率による多額の現金の入手

→後述しますが、株式譲渡の場合、株式の譲渡益に対して、譲渡所得税(約20%)の課税がされることに対し、事業譲渡の場合、売却益に対し、法人税(約30%)の課税がされることとなります。
会社すべてを譲渡することとし、仮に、株式譲渡と事業譲渡で、譲渡価格が同じだとすると、株式譲渡の方が、課税される税額が少なくなります
これが、株式譲渡を採用する大きなメリットのひとつです。

・譲渡後の会社自体の存続

→会社を譲渡しようとする際に、事業譲渡を選択すると、会社の中の事業を譲渡することになりますので、会社の法人格の中は空になってしまいます。
会社を譲渡した後も、いままでと変わらぬ形で会社を残していくことが可能であることも、株式譲渡を採用するもう一つの大きなメリットになります。
※もちろん、譲渡後に商号の変更を行うかどうかは事前に譲受先と協議をしておかなければならない事象ですし、事業譲渡を採用しても、商号が引き継がれるケースも多数存在します。
ただ、商号、法人格ともに現存のまま残すためには、株式譲渡の方が適していると考えられます。



買い手側のメリット


・事業資産の包括的な継承

事業譲渡を採用すると、譲渡対象の資産や従業員など、なにを譲り受けて、何を譲り受けないのかを細かく決める必要が発生します。
もちろん、部門や、店舗など、対象会社の一部だけを切り出して譲り受ける場合は、事業譲渡を採用せざるを得ませんが、会社をまるごと譲り受けるのであれば、取引先との契約も含め、資産や権利を包括して譲り受けることのできる株式譲渡を採用することのメリットも大きいかと思います。
※とはいえ、株式譲渡を採用すると、対象会社の資産や権利のみでなく、義務も包括的に引き継ぐこととなってしまいますので、従業員の未払い残業代請求リスクなどの、認識していない潜在リスクを回避するため、会社をまるごと譲り受ける場合でも事業譲渡を採用する買い手企業さまも存在します



・複雑な手続きの回避

→事業譲渡は、株式譲渡とは異なり、会社の権利・義務を包括的に引く継ぐのではなく、譲受対象となる資産、事業を範囲選択して譲り受ける方法となります。
そのため、対象会社の従業員さまとの雇用契約や、取引先さまとの契約も、譲渡の際に新たに締結しなおす必要があります。
膨大な事務作業量を回避できることも株式譲渡を採用するメリットとなります。

事業譲渡

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事業譲渡とは、譲渡会社が保有する事業の一部または全部を、譲渡先の会社もしくは個人に譲渡する方法です。
中小企業さまのM&A・事業承継では株式譲渡と並んでよく使われる手法となります。


事業譲渡を採用する際の、
売り手側のメリットとしては、


・負債があってもM&Aをしやすい

・特定の事業のみを売却して会社自体は残すことができる


買い手側のメリットとしては、



・負債を引き継ぐ必要がない

・譲受対象を指定できる


などが挙げられます。

以下、説明していきます。



売り手側のメリット

・負債があってもM&Aをしやすい
→事業譲渡では、譲渡する資産・負債を指定して譲渡することになりますので、株式譲渡に比べて、負債が多い会社でも譲渡しやすい傾向があります。
株式譲渡を採用した場合、会社の権利・義務を包括的に譲渡することになるので、買い手としては対象会社に附随する借入金全額を引き受けることになります。
一方、事業譲渡で譲渡した場合は、事業のみに価値をつけて譲渡することができるので、借入金全額ではなく、一部を事業譲渡対価にて返済し、残りは売り手オーナーさまが返済するという会社の清算方法もとれるようになります。

・特定の事業のみを売却して会社自体は残すことができる→株式譲渡にて、株式を譲渡した場合、法人格はもちろん、買い手側に権利が移行します。
一方、事業譲渡にて事業の一部または全部を譲渡した場合は、あくまで譲渡対象は事業のみなので、株式は引き続き売り手オーナーさまの所有となります。
この様に、事業譲渡を採用すると法人格を譲渡後も残すことができるというメリットがあります。

まとめ

株式譲渡と事業譲渡はメリット・デメリットがあり、状況に応じて使い分けることが重要

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・会社譲渡には大きく分けて、株式譲渡事業譲渡2種類の方法が存在する。
・株式譲渡と事業譲渡はそれぞれ、メリットデメリットが存在し、状況に応じて使い分けることが重要


これまで、会社譲渡・事業承継のスキームについて解説してきました。
安心して会社譲渡・事業承継を行うには、相性の良いM&A仲介会社に依頼することが重要になってきます。

弊社もM&A支援機関として、中小企業さまの会社譲渡・事業承継のご支援をさせて頂いておりますので、お気軽にお電話もしくはお問い合わせフォームよりご連絡頂けますと幸いです。


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